「また最近勉強してるんですね!」
ここ数ヶ月、お客様との会話の中でそんな言葉をいただくことが増えました。
確かに最近は、毛髪理論を改めて勉強したり、パーマを学び直したり、美容に関する時間が増えています。
そして先日、本当に久しぶりに、美容師向けの講習へ参加してきました。
タイトルだけ聞くと、「流行りを勉強しに行ったんだな。」と思われるかもしれません。
でも、実は少し違います。
僕が知りたかったのは、流行りのヘアスタイルではありません。
今、第一線で活躍している美容師が、どんなことを考えながら仕事をしているのか。
どんなところを見て、お客様の髪と向き合っているのか。
その”考え方”を見てみたかったんです。
なぜ今さら?
美容師になって20年。
20年もやっていると、自分なりの考え方や仕事の進め方が自然とできあがってきます。
もちろん、それは経験から生まれたものです。
失敗もたくさんしてきました。
上手くいかなかったことも数え切れません。
その積み重ねの中で、
「cutskiiiでは、こういう仕事をしたい。」
そんな軸もできました。
でも同時に、営業中にずっと思っていたことがあります。
「自分はこう考えて仕事をしているけど、本当にこれでいいんだろうか。」
間違っていると思っていたわけではありません。
ただ、自分の考えだけで完結してしまうのは怖い。
だから一度、今の第一線で活躍している人たちの仕事を、自分の目で見てみたいと思いました。
流行りを見に行ったつもりだった。実際に講習へ行って感じたこと。
もちろん、今っぽいデザインや、最新の考え方にも触れることができました。
でも、一番印象に残ったのはそこではありませんでした。
僕が驚いたのは、
仕上がりへの熱量。毛先がどう動くのか。
この角度から見た時はどう見えるのか。
写真に写った時のバランス。
髪一本一本の重なり。
その日、その瞬間を最高に仕上げるための細かなディテール。
「ここまで考えるのか。」
そう思う場面が何度もありました。
一人のお客様を、作品を作るように仕上げていく。
その姿勢がとても印象的でした。
そして、自分の仕事を振り返りました。そこで自然と考えたのは、
「自分はどうだろう。」
ということでした。
僕がこれまで一番大切にしてきたのは、
毎日の扱いやすさ。
家でも再現しやすいこと。
そして、時間が経ってもスタイルが崩れにくいこと。
美容室で最高なのは当たり前。
でも、本当に大切なのは、お客様が自宅で過ごす何十日間だと思っています。
朝、鏡の前で困らないこと。
乾かしただけでまとまること。
伸びても形が崩れにくいこと。
cutskiiiでは、そこを何より大切にしてきました。
だから、正直に言うと、
仕上げで毛先を細かく作り込むことへの優先順位は、それほど高くありませんでした。
もちろん仕上げます。
でも、それ以上に「普段どうなるか」を考えていました。
考えは変わらなかった。今回の講習を受けて思ったのは、
「今までの考えが間違っていた。」
ではありません。
むしろ、
「この考えで良かった。」
という安心感もありました。
扱いやすさ。
再現性。
持ちの良さ。
この軸は、これからも変わらないと思います。
でも、一つだけ気づいたことがありました。
それは、
仕上がりの解像度。ここには、まだ伸ばせる余地がある。
そう感じたんです。
足りなかったのは技術じゃない。新しい切り方を覚えたわけではありません。
新しい理論を持ち帰ったわけでもありません。
足りなかったのは、
「今日、この瞬間を最高にする。」
その熱量だったのかもしれません。
毛先の動きを、もう一歩細かく考える。
仕上がった時のシルエットを、もう一歩具体的にイメージする。
お客様が鏡を見た瞬間、
「今日めちゃくちゃいい。」
そう思っていただけるところまで、もっと突き詰められる。
そんな気づきをもらいました。
「どちらか」じゃない。以前の僕なら、
「仕上げを作り込みすぎると、持ちや再現性が少し犠牲になる。」
そう考えていました。
今も、その考えはゼロではありません。
でも今回思ったのは、
どちらかを選ぶ必要はない。ということ。
扱いやすさも。
持ちの良さも。
再現性も。
そして、その日の仕上がりの感動も。
全部追いかけてもいい。
全部追いかけられる美容師を目指したい。
そんなふうに思えました。
20年目だからこそ。美容師になりたての頃は、
技術を覚えることで精一杯でした。
少し経験を積むと、
自分のスタイルができてきます。
でも20年目になって思うのは、
一番怖いのは、
「もう知っている。」
と思ってしまうこと。
仕事に慣れることは大切です。
でも、慣れすぎることは成長を止めてしまう。
だからこれからも、
自分の考えを大切にしながら、
違う考え方にも触れて、
「本当にこれでいいのか。」
と問い続けたい。
その繰り返しが、お客様にとってより良い仕事につながると信じています。
最後に。cutskiiiは、流行を追いかける美容室ではないかもしれません。
でも、流行を知らない美容室にもなりたくありません。
大切なのは、
流行を取り入れることではなく、
そこから何を学び、自分の仕事にどう生かすか。
今回の講習で、自分の軸は変わりませんでした。
でも、その軸はもっと磨ける。
そう思えたことが、一番の収穫でした。
これからも、
扱いやすく、持ちが良く、再現しやすい。
そのcutskiiiらしさは変えずに、
鏡を見た瞬間に「今日いいな」と思っていただける仕上がりも、今まで以上に追求していきます。
20年目。
まだまだ、面白くなりそうです。