美容室へ行く日は、少し特別な日です。
髪を切って、鏡を見て、「いい感じ。」と思える。
美容師として、その瞬間をつくれることはもちろん嬉しいです。
でも、僕が本当に大切にしたいのは、その日の仕上がりだけではありません。
家に帰ってから。
次の日の朝。
1週間後。
1か月後。
「今回、この髪型にして良かった。」
そう思っていただける時間を、できるだけ長くしたい。
それが、cutskiiiのカットで一番大切にしていることです。
美容室を出た日は、誰でもきれい。少し極端な言い方かもしれませんが、美容室を出た日は、ほとんどの方がきれいです。
美容師がブローをして、アイロンで整えて、スタイリング剤を使えば、ある程度きれいに仕上がります。
もちろん、その時間も大切です。
でも、お客様が毎日その仕上がりを再現できるとは限りません。
家では時間も違います。
使う道具も違います。
朝はゆっくりセットできる日ばかりではありません。
だからこそ、美容室だけで完成するヘアスタイルでは意味がないと思っています。
髪だけを見ているわけではありません。カットをするとき、髪質やクセ、生えグセを見るのは美容師として当たり前のことです。
もちろん僕も細かく見ています。
でも、それだけでは足りないと思っています。
僕が知りたいのは、その髪がどんな毎日を送っているのか。
朝、どんなふうに髪を整えているのか。
仕事ではどんな印象が求められるのか。
休日は結ぶことが多いのか。
アイロンは使うのか。
使わないのか。
「髪」は、その人の生活の中にあります。
だから、生活を知らずにカットだけ考えることは、僕にはできません。
毎朝どこで困っているんだろう。カットをしているとき、僕の頭の中ではこんなことを考えています。
「毎朝、どこで困っているんだろう。」
「どうすれば少しでもラクになるだろう。」
前髪なのか。
襟足なのか。
トップなのか。
右だけ跳ねるのか。
左だけ膨らむのか。
そんな小さな悩みを、一つでも減らしたい。
そのために、一束一束の髪の動きを見ながらハサミを入れています。
同じ髪質でも、同じカットにはなりません。クセ毛だから、この切り方。
直毛だから、この切り方。
そんなふうには考えていません。
同じ髪質の人でも、生活は違います。
髪にかけられる時間も違います。
求めることも違います。
だから切り方も変わります。
美容師として髪を見るだけではなく、その人を見る。
僕は、その気持ちを忘れないようにしています。
「持ちがいい」は結果です。ありがたいことに、お客様から
「持ちがいいですね。」
と言っていただくことがあります。
これは本当に嬉しい言葉です。
でも、僕は「持ちを良くしよう」とだけ考えているわけではありません。
毎日がラクになるように。
朝が少しでも気持ちよく始まるように。
扱いやすい日が続くように。
そんなことを積み重ねた結果として、「持ちがいい」と感じていただけているのだと思っています。
だから、僕にとって「持ちがいい」はゴールではなく、考え方が形になった結果なんです。
美容室は、毎日を少し良くする場所。髪は毎日触れるものです。
だから、ヘアスタイルが少し変わるだけで、一日の気分が変わることがあります。
鏡を見る回数が増えたり。
出かける準備が少し早く終わったり。
雨の日でも以前ほど気にならなくなったり。
そんな小さな変化が積み重なると、毎日が少しラクになります。
美容室の役割は、髪を切ることだけではない。
毎日を少し過ごしやすくすることでもある。
僕はそう考えています。
次に切る日まで。美容室を出た瞬間だけではなく。
次の日も。
その次の日も。
「今回、このヘアスタイルにして良かった。」
そう思っていただける日が、少しでも長く続くように。
そのために、今日も一人ひとりの生活を想像しながら、ハサミを入れています。
次に切る日まで。
それが、cutskiiiが大切にしているカットです。